個々のライフサイクルに合わせた間取りの変更(建築計画)
人口減少に伴う、
空き家問題。
少子高齢化の進行や、都市への人口集中などの影響により空き家の増加が、社会問題化しており、また人口減少の著しい地域ほど空き家率も比例して高くなります。今後の人口減少を迎える日本においては、空き家の増加が全国的な問題となっています。

空き家総数 約900万戸
空き家率 13.8%
2024年の総務省の調査では、空き家総数は約900万戸(899.5万戸)、空き家率は13.8%となりました。その中でも、四国エリアは、非常に空き家率が高く、上位10位までの内に収まってしまいます。
弊社のある香川県は、第8位で18.10%となっています。
また、2023年に施行された改正空き家対策特別措置法により、特定空き家・管理不全空き家の認定を受けた場合は、固定資産税が大幅に増えることになりました。
この様な社会環境により、古民家をはじめ歴史的建造物の活用が望まれています。
古民家を
取り巻く環境
重要伝統的建築物群保存地区や、それに類するエリアでも古民家等の歴史的建造物が減少、さらに修理技術を持った職人の減少や、修繕する際の費用の問題も顕在化しています。
弊社では、設計監理の自己研鑽や、修理のための知識と技術力を持つ職人さんのネットワークや、多様な補助金を模索しながら、各種プロジェクトを進めています。




根継ぎ・金輪継ぎ
根継ぎ・金輪継ぎとは、傷んだ部分を取り除き、新しい木材で補強する技術のことです。
中でも、根継ぎの技法は木材同士が密着するため、隙間や割れが生じにくく強度が強くなり、建物全体の耐久性を高めます。
伝統構法に精通した大工さんだからこその技術です。
右側の写真は、香川歴史的建造物保存活用会による展示。
古民家と
地域活性化
お住まいの古民家、取得された古民家の所属する地域には、多様な補助金・助成金等があります。それを活用し地域と共に、古民家や、その他歴史的建造物の活用を考える事が大切です。
建築を守ることは、土地の歴史を守ることであり、地域文化を伝えることになります。




カフェでは漆塗りの食器を
使うなどのこだわりも。
家を住み継ぐことは、暮らしの記憶を伝えること。

活動的に過ごせるような断熱化
天井・壁・床下に既設の状況に合わせて断熱材を入れて断熱化を施します。また、アルミサッシのカバー工法による取替えや、内窓の設置を行い窓の断熱化を図ります。そうすることにより、結露を減らし、冬は暖かく夏は涼しく快適な空間をつくることが出来ます。また、室温の差が少なくなりヒートショックの危険リスクを抑えることが出来ます。そして、光熱費も減らすことが出来ます。
高性能グラスウール

水性発砲断熱材

羊毛断熱材


外断熱(付加断熱)
断熱化の対応は、家の内側だけではなく、壁の外側にも断熱処理を施すことがあります。
こちらの事例では、冬場に冷え込み、雪も多い地域のため、断熱化には⼒を⼊れたいとのご要望から、外断熱処理を⾏っています。
防炎処理+塗装防⽔+外断熱を施しています。

2000年以前竣工の建築物の耐震化
1981(昭和56年)5月31日以前に建築された住宅は、補助金もあり耐震改修が進みつつあります。しかし、それ以降の2000年までに建築された住宅も現在は、耐震改修が必要として考えられています。理由としては、下記の様なものが挙げられます。
- 地耐力に応じた基礎構造でない
- 筋交いのサイズに合わせた金物が利用されていない
- 壁の配置バランスの検討がなされていない
- 壁の強さに合わせた金物が使用されていない
木構造に関わるものとしては、2000年・2025年に建築基準法改正がなされています。
耐震化の実例
梁の補強
鉄⾻補強
梁を鉄⾻で⽀えています。鉄⾻は⾒える部分は塗装して違和感なく溶け込むようにしています。


⽊梁補強
新しい⽊を添えるようにして、補強を⾏います。


内壁の耐震化
筋交いによる補強

パーティクルボードによる補強

構造⽤合板による押し⼊れの補強

構造⽤合板による⽞関の補強

床‧外壁の耐震化
構造⽤合板による床補強

ダイライト⾯材による外壁補強

その他、再⽣する古⺠家の状況や⼟地の状況に合わせて耐震化対応をしています。


古い建具の再利⽤
⺟屋にあった古い建具を取り外し、修繕して、再利⽤しています。
その他の建具なども再利⽤し、その独特の風合いは、家に深みをもたらしてくれます。

古い建具の再利⽤
⺟屋にあった古い建具を取り外し、修繕して、再利⽤しています。
その他の建具や⽡も再利⽤しました。

残されていた木材を造作に利⽤
かつて剪定等により里山から切り出された木材がたくさん納屋にありました。木の状態や、新しい家との調和を考え、利用できる木は捨てずに再利用しました。


⽡の再利⽤
職人さんのアイデアで、取り外した⽡を使って、駐⾞場や玄関の装飾に利用しました。

採光の調節
天窓をつけたり、窓を増やすなどして、十分な灯りが入るようにしています。

家事導線を考えたつくり
屋根のある洗濯物干し場です。格子をたてて、外から容易にみられないようにしています。

省エネ対策‧環境対策
室内の⾵や熱の通りを考えて、空気の通り道を作る⼯夫を施しており、快適に過ごせます。
個人のライフサイクルに合わせた
間取りの変更(建築計画)
高齢化により生活領域を小さくする、古民家を取得し自分たちの暮らしに合わせる、2世帯・3世帯の多様な集合体で暮らす等の理由で間取りの変更があります。近年では蔵や、納屋に生活領域を広げて改修を施して暮らすことも増えています。